インドネシアの伝統健康法5選|ハーブと祈りが導く、心と体のリセット術

自然とともに生きる知恵がここに。島ごとの風土と信仰が生んだ、深くて効く健康習慣

1万7千以上の島々から成るインドネシアは、島ごとの文化や気候に応じて多種多様な健康法が発展してきました。
ハーブを使った内服療法「ジャムウ」やスパイスで温める「ボレマッサージ」、さらにはスチームや祈祷といった精神的ケアまで、体と心をまるごと整える「伝統の知恵」が今も生活の一部として受け継がれています。

本記事では、効能・利用頻度・地域性をもとに、信頼できるインドネシアの代表的な5つの健康法をご紹介します。

健康法効果実感人気利用頻度地域分布
ジャムウ★★★★★★★★★★★★★★★全国(特にジャワ島)
ボレマッサージ★★★★☆★★★★☆★★★☆☆バリ島・ロンボク島
サウナ(バリアン式)★★★★☆★★★☆☆★★☆☆☆バリ島・スンダ地方
スチーム療法★★★★☆★★★★☆★★★★☆ジャワ島・スマトラ島他
ドゥクン療法★★★☆☆★★★★☆★★★☆☆全国(特に山岳・信仰地域)

【1】 伝統のハーブ療法:ジャムウ(Jamu)

ジャムウは、インドネシアの伝統的なハーブ療法で、「植物の実」「木の皮」「花・葉」など自然素材を調合して作られます。
インドからヒンドゥー教とともに伝わったアーユルヴェーダのハーブ調合法を元に、インドネシア独自にアレンジされたものです。

1300年前から民間療法として伝承され、健康飲料や医薬品として現在も広く使用されています。
また、「バリアン(Varian)」と呼ばれる伝統医は、代々受け継がれる秘伝の調合法を持っています。

スパでは、フラワーバスでくつろいでいる間にジャムウが提供されることもあります。

伝統医Varian

バリアン(Varian)は、インドネシアの伝統医であり、主にジャワ島やバリ島で活動しています。彼らは、世襲制または体系的な学習を経て、伝統的な治療法を習得します。バリアンの治療法は、ヒンドゥー教の三大神(シヴァ神、ブラフマー神、ヴィシュヌ神)の教義に基づいており、ウサダと呼ばれる医療体系を学びます。ウサダは木簡に記録され、医薬原論から各論までが綿密に保存されています。バリアンは、ジャムウと呼ばれる伝統的な薬草療法を調合し、治療に用います。ジャムウの調合法は、アーユルヴェーダの影響を受けており、強壮学予防医学の概念が根底にあります。

🔽動画を見る:200年の歴史 ジャムウ・ショップ

📌特徴

  • 植物の実・木の皮・花・葉などを調合
  • ドリンク系(健康飲料)からピル系(医薬品)まで、様々な形で飲用される
  • 自然由来成分で作られ、副作用が少ないとされる

🔽動画を見る:Jamu 伝統的な調合

📌効果

  • 免疫力アップ
  • 消化促進
  • 美肌ケア
  • 冷え性改善
  • 更年期障害のケア

🔽動画を見る:バリアン ジャムウ

【2】伝統療法:ボレマッサージ

ボレマッサージは、バリ島の伝統的なボディパック療法で、主にジンジャーやクローブなどのスパイスを使用します。これらのスパイスは、体を内側から温め、新陳代謝を促進する効果があります。ボレマッサージは、特に雨季の風邪予防や免疫力向上を目的として行われることが多いです。

📌特徴

  • スパイス使用:ジンジャーやクローブなどのスパイスを使用。
  • ボディパック:体全体にスパイスペーストを塗布し、一定時間放置。
  • 温熱効果:体を内側から温めることで、リラックス効果を高めます。

📌効果

  • 新陳代謝促進:スパイスの温熱効果により、代謝が活性化。
  • 風邪予防:免疫力を高め、風邪の予防に効果的。
  • リラクゼーション:温熱効果と香りで心身をリラックス。

【3】バリアン式ハーバルサウナ

インドネシア、特にバリ島・スンダ地方(西ジャワ)に伝わる、伝統医バリアンが施すハーブ蒸しサウナ
「タマリンド」「クローブ」「ガランガル」「ライムリーフ」などを煮出した蒸気を、布で囲った小屋やバスケットテント内に充満させ、その中で全身をじんわり温めます。

現代のスパ施設では「Herbal Steam Sauna」として再構成され、ボレマッサージとの組み合わせで提供されることが多いです。

📌特徴

  • 地元で採れた薬草やスパイスを煮出して使用
  • 体を包み込み、内側から発汗
  • 産後ケアや月経痛緩和にも使われる

📌効果

  • 発汗によるデトックス
  • 自律神経の調整
  • 冷えや生理不順の改善
  • 血行促進+リラクゼーション

📌地域性

  • バリ島、スンダ地方中心
  • スパ併設施設ではジャムウとセットで提供されることも多い

【4】スチーム療法(Uap Rempah)

「Uap Rempah(ウアッ・レンパー)」は直訳すると「スパイスの蒸気」療法。ジャワ島・スマトラ島・カリマンタン島の農村部で特に広く行われており、風邪・鼻詰まり・咳などの呼吸器系疾患や毒素排出に効くとされています。

鍋でハーブを煮立て、頭や顔をタオルで覆ってその蒸気を吸い込む“インドネシア版ヴィックス・スチーム”。
都市部では家庭でのセルフケアとしても根強く残っています。

📌特徴

  • クローブ、ショウガ、タマリンド、レモングラスなどを煮出す
  • 蒸気を鼻・口から吸引
  • フェイシャル蒸気浴のような使い方も可

📌効果

  • 呼吸器系の不調(風邪・鼻詰まり・咳)の改善
  • 発汗による解毒効果
  • 自律神経の安定・リラックス効果
  • 感染予防としても使用

📌地域性

  • ジャワ島、スマトラ島、カリマンタン島に分布
  • 地域によってハーブの種類が微妙に異なる(例:スマトラではよりスパイシー)

【5】ドゥクン療法(Dukun)

トラディショナルヒーリング(ドゥクン療法)は、インドネシアの伝統的な治療法で、ドゥクンと呼ばれる民間医師によって行われます。ドゥクンは、世襲制または学習を通じて、伝統的な治療法を習得します。治療法は、薬草の使用、マッサージ、祈祷など多岐にわたり、呪術師・祈祷師・ヒーラー・薬草師の役割を併せ持つ存在。特に地方部では、病院と同じくらい頼りにされることも。

祈祷や呪文、占星術、そしてジャムウの調合やスチーム、オイルマッサージなどを使いながら、身体と精神両面からアプローチする治療法です。

  • 身体的治療:薬草やマッサージによる痛みの緩和や病気の治療。
  • 精神的癒し:祈祷やカウンセリングによる心のケア。

📌特徴

  • 多様な治療法:薬草療法、マッサージ、祈祷などを組み合わせた治療法。
  • 個別対応:患者一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの治療。
  • 精神的アプローチ:身体だけでなく、精神面のケアも重視。

📌効果が期待されるもの

  • 慢性症状への対応(腰痛・不眠・不安など)
  • 精神的ストレスの緩和(特に“霊的原因”への対処)
  • 妊娠・出産・育児のサポート
  • 霊的な浄化や厄払い

📌地域性

  • インドネシア全土に存在
  • 特にバリ島(バリアン)やジャワ島の山岳地帯では今も信仰が厚い
  • ただし観光客は必ず信頼できる場所・紹介者経由で受けるべき

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