赤とんぼは日本だけの秋?──世界のトンボ文化と季節イメージの比較特集 

夕焼けの空を飛ぶ赤とんぼ。 日本では、赤とんぼを見ると夏の終わりや秋の訪れを感じる人も多いでしょう。

童謡「赤とんぼ」、稲穂が実った田んぼ、里山の夕暮れ。 赤とんぼは、日本の秋の風景と深く結びついた存在です。

しかし、トンボという生き物に目を向けると、その文化は日本だけにとどまりません。 世界では、竜にたとえられたり、幸運や再生の象徴とされたり、反対に不吉な虫として恐れられたりと、地域ごとにまったく異なる意味が与えられてきました。さらに、トンボの飛び方を模した玩具まで作られています。

そして、トンボは世界の広い地域に分布しています。 では、赤とんぼはどこに生息しているのでしょうか? また、同じトンボという生き物が、それぞれの土地でどのように受け止められてきたのでしょうか?

本記事では、赤とんぼの分布、日本の秋の風景、世界のトンボ文化、そして古くから親しまれてきた玩具まで、トンボをめぐる人と自然の関わりをたどります。

目次

・【1】赤とんぼ
・ <1-1>日本|アキアカネ
・ コラム|赤とんぼが減っている?
・【2】日本のトンボ文化
・ <2-1>田んぼと赤とんぼ
・ <2-2>童謡「赤とんぼ」
・ <2-3>武家の縁起物「勝虫」
・ コラム| 日本の古称「トンボの国」
・【3】世界のトンボ文化
・ <3-1>中国|蜻蜓
・ <3-2>英語|Dragonfly
・ <3-3>フランス語|Libellule
・ <3-4>トンボの象徴性
・【4】トンボの遊び道具
・【5】まとめ

【1】赤とんぼ

「赤とんぼ」と聞くと、秋の空を赤く彩るように飛ぶ真っ赤なトンボを思い浮かべるかもしれません。日本では、赤みを帯びたトンボ類をまとめて「赤とんぼ」と呼んでおり、代表的な種類にはアキアカネ、ナツアカネ、ノシメトンボ、マユタテアカネなどがあります。これらは体色や模様、生息環境、季節ごとの行動がそれぞれ異なるため、「赤とんぼ」は昆虫分類上の正式なグループ名というより、身近な赤いトンボを指す総称といえます。

なかでも、日本の秋を象徴する存在としてよく知られているのがアキアカネです。アカネ属(Sympetrum)の仲間は、アジア・ヨーロッパ・北アメリカなど北半球の広い地域に分布しており、地域によって種類は異なるものの、世界各地で赤みを帯びたアカネ属のトンボを見ることができます。

🔽【動画】赤とんぼの見分け方

<1-1>日本|アキアカネ

アキアカネ(Sympetrum frequens)は、日本を代表する赤とんぼの一種です。

北海道から本州、四国、九州などに分布し、水田や湿地などで幼虫期を過ごします。

アキアカネは春から初夏に羽化したあと、暑い盛りには標高の高い場所へ移動し、秋になると再び平地へ戻ってくるという特徴があります。

夏の終わりから秋にかけて、田んぼや草地で赤いトンボが目立つようになるのは、この季節移動と関係しています。

コラム|赤とんぼが減っている?

近年「昔より赤とんぼを見なくなった」という話を耳にすることがあります。実際、種類や地域によって状況は異なるものの、アキアカネをはじめとする赤とんぼの減少が報告されています。

その主な要因は、水田環境の変化です。アキアカネは水田に産卵し、幼虫(ヤゴ)は水中で成長しますが、 水田の乾田化、水路の改修、農薬の使用、水田そのものの減少などにより、ヤゴが育つ環境が大きく変わりました。

とくに、フィプロニルなど一部の浸透移行性殺虫剤が幼虫に影響を与える可能性が指摘されており、農薬と赤とんぼの減少の関係を調べる研究も進められています。

【2】日本のトンボ文化

日本には非常に多くの種類のトンボが生息しています。

その中でも、赤とんぼが特に強い季節イメージを持つようになった背景には、日本の自然と暮らしがあります。

<2-1>田んぼと赤とんぼ

アキアカネの幼虫は水中で生活し、水田などの浅い水域も繁殖場所として利用します。

成虫になると空を飛び回り、昆虫などを捕食します。

かつて日本の農村には、広大な水田とその周辺の水路、池、湿地などが広がっていました。

そのため、稲作の風景の中でトンボを見ることは、ごく身近な光景でした。

稲穂が実るころに姿を見せる赤とんぼは、農村の秋を構成する一つの風景になっていったのです。

🔽【動画】赤とんぼと田んぼ

<2-2>童謡「赤とんぼ」

日本の赤とんぼのイメージを語るうえで欠かせないのが、童謡「赤とんぼ」です。

作詞は三木露風、作曲は山田耕筰。

夕焼け、赤とんぼ、故郷、幼いころの記憶。

歌の中で赤とんぼは、単なる昆虫ではなく、遠い記憶や故郷を思い起こさせる存在として描かれています。

この歌が広く親しまれたことも、「赤とんぼ=日本の秋」というイメージを強く印象づけた一因といえるでしょう。

🔽【動画】童謡「赤とんぼ」

<2-3>武家の縁起物「勝虫」

古くからトンボは「勝虫(かつむし)」と呼ばれ、武士に縁起の良い存在として親しまれてきました。トンボがまっすぐ飛び、後退しないように見えることから、戦場で前へ進む武士の姿と重ねられたためです。こうしたイメージから、蜻蛉の文様は兜や甲冑、刀装具などの武具に取り入れられました。国立国会図書館の資料でも、蜻蛉が「勝虫」として武具や刀装の意匠に用いられたことが紹介されています。

江戸時代の百科事典『和漢三才図会』(1712)にも蜻蛉を「勝虫」と記すなど、当時すでに一般的な呼び名だったことがうかがえます。また、武家屋敷の飾りや陣羽織の文様にも蜻蛉が使われ、武家の縁起物として広く浸透していました。さらに江戸時代には、子どもの玩具や着物の柄にも蜻蛉が取り入れられ、庶民にも親しまれる存在となりました。

1)トンボの意匠

兜や甲冑、刀装具に蜻蛉の意匠が使われた例は、室町〜江戸初期にかけて多く見られます。代表的な例を紹介します。

①「蜻蛉切(とんぼきり)」の伝承

蜻蛉の名前が付けられた武具としてよく知られているのが、戦国武将・本多忠勝の愛槍「蜻蛉切」です。

槍の穂先に止まろうとした蜻蛉が、その刃に触れて真っ二つに切れたという逸話から、「蜻蛉切」という名が付いたとされています。

蜻蛉切は「日本号」「御手杵」と並ぶ天下三名槍の一つとして知られ、現在も「槍 銘 藤原正真作(号:蜻蛉切)」として伝わっています。

🔽【動画】伝説の槍『蜻蛉切』

②江戸時代の刀装具

江戸時代の刀装具には、刀の鍔(つば)や小柄(こづか)などに蜻蛉の意匠を施したものが多数残されています。

蜻蛉は、兜や甲冑だけでなく、刀装具や装身具にも取り入れられ、武家文化の中で親しまれた文様の一つでした。現在も、蜻蛉を題材にした江戸時代の刀装具や甲冑が各地の博物館・美術館などに収蔵されています。

<補足>勝虫結び(かつむしむすび)

近年、武家文化の「勝虫(後退しない縁起物)」という思想をモチーフに、トンボの姿を紐で表現した「勝虫結び」という飾り結びが作家の間で創作されています。これは歴史的な伝統結びではなく、水引や組紐の技法を応用した現代的な作品で、特定の流派や発案者がいるわけではありません。武家文化の縁起を手仕事で表現した新しい造形として、和雑貨やハンドメイドの分野で用いられることがあります。

🔽【動画】勝虫結び

コラム| 日本の古称「トンボの国」

日本の古称の一つに「秋津洲(あきつしま)」があります。

『日本書紀』には、神武天皇が国土を見渡し、その形を蜻蛉になぞらえたという記述があり、そこから「秋津洲」という呼び名が生まれたとされています。古代の日本語では「蜻蛉」を「あきづ」と呼ぶ例があり、「秋津島」は後に日本を指す古称として使われるようになりました。

トンボが、単なる身近な昆虫ではなく、日本そのものを表す言葉にまで登場する点は、日本文化におけるトンボの位置づけを考えるうえでも興味深い例です。

【3】世界のトンボ文化

世界各地では、トンボが文学・絵画・伝承・民俗の中に登場し、それぞれの文化で異なる意味を与えられてきました。

<3-1>中国|蜻蜓

中国語でトンボは「蜻蜓(qīngtíng)」と呼ばれます。中国では、蜻蜓は古代から詩や絵画に登場し、水辺の季節感を象徴する存在として親しまれてきました。

1)中国の文学における蜻蜓

中国の古典詩には、蜻蜓が季節の移ろいや水辺の情景を表す存在として登場します。

  • 唐代・白居易の詩:夏の水辺の風物として蜻蜓が描かれる
  • 宋代の詞(詩歌):蓮池や水面の情景を彩る存在として登場する

蜻蜓は、水辺の静けさや季節の変化を象徴する虫として、特定の役割を持っていたことがうかがえます。

2)花鳥画での蜻蜓

中国の花鳥画では、蜻蜓は蓮・菖蒲・水草など「水辺の植物」と組み合わせて描かれることが多くあります。これは、蜻蜓が水辺に生息する生態を踏まえた、季節・環境の象徴としての表現です。

3)言葉「蜻蜓点水」

「蜻蜓点水(せいていてんすい)」は、トンボが水面に軽く触れるように飛ぶ姿から生まれた言葉で、表面的に触れるだけで深く関わらないことを意味します。

4)中国の吉祥文様としての蜻蜓

中国では蜻蜓(チンティン)は、文学や絵画だけでなく、吉祥文様にも取り入れられてきました。

とくに明清時代の装飾では、蜻蜓が女性の装身具などに描かれ、「青春が長く続くこと」や美しさを願う意味が込められた例があります。また、蜻蜓は「清」と音が通じることから、ほかの植物や鳥と組み合わせて、別の吉祥意味を持たせることもありました。

このように中国では、蜻蜓は水辺の風景を彩る身近な虫であると同時に、装飾や文学の中で美しい季節感や吉祥性を表す存在にもなっています。

<3-2>英語|Dragonfly

英語ではトンボをDragonflyと呼びます。17世紀から使われている名称で、「dragon(竜)」と「fly(飛ぶ虫)」を組み合わせた言葉です。なぜ「dragon」という語が使われたのかについては諸説あり、単純にトンボの姿を竜に見立てたものと断定することはできません。

一方、英語圏にはトンボを不吉な存在として見る古い民間伝承も残っています。

1)不吉な呼び名

英語圏には、トンボを不吉な存在として見る古い民間伝承があります。

イギリスでは「Devil’s Darning Needle(悪魔の繕い針)」、アメリカにも同じ呼び名などが残っています。また、ドイツでは「Teufelsnadel(悪魔の針)」、北欧にも悪魔や異界と結びついた呼び名や伝承があります。

こうしたトンボへの不吉なイメージは、ヨーロッパ各地でそれぞれ異なる形で語られてきました。英語圏にも古くから受け継がれ、アメリカにも「Devil’s Darning Needle」などの呼び名が残っています。

つまり、トンボに対する「悪魔の針」というイメージは、一つの国から生まれて広がったというより、ヨーロッパ各地で似たような民間伝承が生まれ、それぞれの地域で異なる呼び名として残っていったと見る方が適切です。

2)「悪魔の針」と呼ばれた背景

こうした俗称には、「トンボが人の口やまぶたなどを縫い合わせる」といった民間伝承が伴うこともありました。

もちろん、これはトンボの生態を反映したものではなく、農村社会で語り継がれたフォークロアです。実際には、トンボが人間を刺したり、口を縫ったりすることはありません。

日本で「勝虫」として好意的に受け止められたトンボが、ヨーロッパの一部では「悪魔の針」のような不気味な名前で呼ばれていたことは、同じ昆虫にまったく異なる意味が与えられた興味深い例といえます。

<3-3>フランス語|Libellule

フランス語ではトンボを「libellule(リベリュル)」と呼びます。

この言葉はラテン語のlibellaに由来し、「水平器・水準器」を意味する語と関係しています。トンボが空中でほぼ停止するように飛ぶ姿などから、この語が使われるようになったと説明されています。

日本語の「勝虫」や英語の「Dragonfly」と比べると、同じトンボでも、言葉の由来そのものがまったく違うことが分かります。

<3-4>トンボの象徴性

トンボは世界各地で、文学や民間伝承、装飾の中に登場します。ただし、その意味は世界共通ではありません。

1)中国|吉祥・美しさ

中国では蜻蜓が絵画や装飾に取り入れられ、明清時代には女性の装身具に使われた例もあります。蜻蜓は吉祥をもたらす存在として、青春や美しさ、幸福を願う意味と結びつけられることがありました。

なお、ここでいう「吉祥」は、良いことが起こる前触れを意味する「吉兆」とは少し異なります。「吉祥」は、幸福や幸運、めでたさを願う縁起のよいものを指す言葉です。

2)北米の先住民文化|水・変化・守護

北米先住民文化でも、トンボの意味は部族によって異なります。

たとえばホピやプエブロでは、トンボが水や変化、癒やしなどと結びつけられた例があり、ナバホでは水を象徴する存在として扱われることがあります。また、平原部の一部の文化では、守護や無敵性と結びつけられた例もあります。

3)北欧|精霊や異界と結びつくトンボ

北欧の民間伝承では、トンボが人間の世界と精霊や異界を結びつけるような存在として語られることがあります。

たとえばスウェーデン語の「trollslända」は、直訳すると「トロールの紡錘」に近い言葉です。トロールがトンボを紡錘のように使って糸を紡ぐという伝承があり、トンボが人間とは異なる世界の存在と結びつけられていたことが分かります。

また、北欧にはトンボを悪魔や異界の存在と結びつける伝承も残されています。

日本でトンボが「勝虫」として武士の世界と結びついたのに対し、北欧では精霊やトロール、悪魔など、人間の世界の外側にある存在と結びつけられた点が興味深いところです。

4)バリ島|神聖な存在

インドネシアのバリ島にも、トンボを神聖な存在として捉える民間的な伝承があります。

バリ・ヒンドゥーの文化の中では、トンボが神々の世界と人間の世界をつなぐ存在、あるいは神の使いのように語られることがあります。

水の中で育った幼虫が、羽を持つ成虫となって空を飛ぶというトンボの生態も、異なる世界を行き来するようなイメージと重ねられてきました。

ただし、これはバリ・ヒンドゥー教全体で統一された教義というより、地域の民間的な信仰や語りとして捉えるのが適切です。

5)ヨーロッパ|不吉な民間伝承

ヨーロッパの一部では、トンボは「悪魔の針」や「悪魔の繕い針」など、不気味な名前で呼ばれてきました。水辺に現れることや独特の姿から、さまざまな民間伝承が生まれたと考えられています。

6)ケルト文化|妖精の乗り物

アイルランドやスコットランドなどのケルト文化圏にも、トンボにまつわる興味深い民間伝承があります。

ケルトのフォークロアでは、トンボは妖精(fairies)が乗る空飛ぶ馬のような存在として語られることがあります。人間の目には小さな昆虫に見えるトンボを、妖精の世界と結びつく不思議な生き物として捉えたものです。北アイルランドの自然保護団体の資料でも、こうした伝承が紹介されています。

また、スコットランドのゲール語には、トンボを「蛇の頭」「燃える虫」「蜘蛛蛇」「毒を持つ雄牛蛇」など、蛇や危険な生き物を思わせる名前で呼ぶ例も残っています。トンボが必ずしも美しく神秘的な存在としてだけ捉えられていたわけではないことも分かります。

同じケルト圏でも、トンボは妖精の世界につながる存在として語られたり、反対に蛇のような不思議で少し恐ろしい生き物として呼ばれたりしていました。

◎トンボの象徴性を国別にまとめた表

地域・文化トンボに結びつけられた意味・イメージ背景・文脈
中国吉祥・美しさ・幸福絵画や装飾、明清時代の女性の装身具などに登場。青春や美しさ、幸福を願う吉祥的な意味と結びつけられる
日本勝利・前進「勝虫」と呼ばれ、後退しないように見える姿から武士の縁起物とされ、兜・甲冑・刀装具などに用いられた
北米の先住民文化水・変化・守護などホピ、プエブロ、ナバホなど、部族によって異なる伝承や象徴がある
北欧精霊・トロール・異界スウェーデンの「trollslända」など、トンボをトロールや異界と結びつける民間伝承がある
バリ島神聖な存在・神の使いバリ・ヒンドゥー文化の民間的な伝承の中で、神々の世界と人間をつなぐ存在として語られる
イギリス・アメリカ悪魔・不吉な存在「Devil’s Darning Needle(悪魔の繕い針)」などの俗称が残る
ドイツ悪魔・不吉な存在「Teufelsnadel(悪魔の針)」などの呼び名がある
ケルト文化圏妖精・異界・不思議な生き物アイルランドやスコットランドなどでは、トンボを妖精が乗る空飛ぶ馬とする伝承や、蛇などを思わせる独特な呼び名が残る
フランス「水平器・水準器」libellule はラテン語 libella に由来し、トンボの飛翔と結びつく語源を持つ

このように、トンボは世界の自然観・民間伝承・装飾文化の中で、吉祥や美しさ、勝利、精霊、神聖さ、不吉さ、妖精など、地域によってまったく異なる意味を与えられてきました。

【4】トンボの遊び道具

トンボの特徴的な飛び方は、文化だけでなく玩具にも取り入れられてきました。

<4-1>中国|竹蜻蜓

中国には、竹製の羽根と軸を回転させて飛ばす玩具「竹蜻蜓(zhú qīngtíng)」があります。

この玩具の起源については諸説ありますが、中国では古くから回転して飛ぶ玩具が作られてきました。晋代の葛洪が著した『抱朴子』には「飛車」と呼ばれる器械の記述があり、これを竹蜻蜓に似たものと考える説があります。ただし、「飛車」が現在の竹蜻蜓そのものだったと断定することはできません。

竹蜻蜓は、竹の羽根と軸というシンプルな構造を持ち、軸を両手で素早くこすって回転させると、羽根が空中へ飛び上がります。その仕組みは現代の回転翼の原理にも通じており、後世の航空技術者にも注目されました。

🔽【動画】竹蜻蜓

<4-2>日本|竹とんぼ

日本には、中国の竹蜻蜓とよく似た構造を持つ回転玩具「竹とんぼ」があります。竹を削って羽根と軸を作り、両手でこすって回転させると空へ飛び上がるという、シンプルながら仕組みが分かりやすい玩具です。

竹とんぼが文献に登場するのは江戸時代(17〜19世紀)で、江戸後期の玩具図録や随筆には「竹蜻蛉」「蜻蛉飛ばし」などの名称で記録が残っています。江戸後期には庶民の子どもの遊びとして広まり、明治〜昭和初期には竹細工の代表的な玩具として全国的に親しまれるようになりました。

昭和中期(1950〜70年代)には、竹とんぼは外遊びの玩具として広く使われ、学校や地域の遊びの中でもよく見られる存在でした。その後、プラスチック製の玩具やテレビゲームの普及により、日常的な遊びとしては次第に姿を減らしましたが、現在でも工作教室や地域の伝統遊びとして受け継がれています。

竹とんぼは、竹を削って羽根と軸を作るだけのシンプルな構造で、子どもが自分で作れる「手作り玩具」として長く愛されてきました。

🔽【動画】竹トンボ

まとめ

赤とんぼは、日本では秋の風景を彩る身近な存在として親しまれてきましたが、世界に目を向けると、まったく異なる姿で語られてきたことが分かります。水辺の季節を告げる虫、竜のように力強い飛翔を見せる虫、幸運や再生の象徴、あるいは不思議で少し怖い存在——。トンボはその土地の自然観や暮らしを映す鏡のような存在です。

また、竹蜻蜓や竹とんぼのように、トンボの飛び方は人々の遊びや創造にも影響を与えてきました。 生態、文化、歴史、遊び。 トンボは、ただの昆虫ではなく、人と自然の関わりの中で多様な意味を持ち続けてきた生き物だと言えるでしょう。

赤とんぼを見かけたとき、私たちが感じる季節の気配や郷愁も、そうした長い文化の積み重ねの中にあるのかもしれません。

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