かっさ療法(Scraping Therapy)

かっさ療法とは?東洋の知恵から現代美容まで──進化する“擦る健康法”の真実

肌を擦る、だけじゃない。伝統医学×美容の“かっさ”に今、世界が注目。

肩こりや冷え性、むくみなどの悩みに、あなたはどう対処していますか?
中国で数千年前から行われてきた「かっさ療法」は、皮膚を擦るというシンプルな方法で体のめぐりを整える、自然派のセルフケアです。
最近では、美容アイテムとしても注目され、欧米や日本でも“フェイスかっさ”ブームが広がっています。本記事では、その歴史・効果・科学的裏付けまでを詳しく解説します。

【1】かっさ療法とは?

かっさ療法(刮痧・グアシャ)とは、数千年前から中国で行われてきた伝統的な民間療法です。道具を用いて「皮膚を刺激する」ことで血行を良くし、体の機能を活性化させる事で、人間が本来持っている「自然治癒力を高める」治療法です。

具体的には、皮膚にオイルを塗り「かっさ板」などの道具を使用して「気の通り道」である経絡(ツボ)を擦ることで、血流の滞り(瘀血)を解消します。施術部位に赤みや紫斑(シャ)が出ることがありますが、数日で自然に消えます。

<1-1>主な目的

  • 血行促進・瘀血の解消
  • 筋肉の緊張緩和
  • 免疫力の向上
  • 頭痛・肩こり・冷え性の緩和
  • 美容効果(リフトアップ・むくみ軽減 など)

<1-2>使用する道具(かっさプレート)

かっさ療法では「皮膚を傷めない」ように、身近にある「お皿やスプーン」などの「丸みのある部分」を道具として用いていましたが、現在は「ハート型やカーブ型」など、顔・体用に特化した形状の専用の美容アイテムも登場しています。

  • 「翡翠」や「貴石」でできた「玉:ぎょく」
  • 「水牛の角」などの天然素材で作られた専用のかっさ板
  • 銅貨
  • お皿などの陶器
  • スプーン(れんげ)
  • 温熱・振動機能を備えた電動かっさ

【2】瘀血とは?

東洋医学では「気・血・水」の3つの要素が「スムーズに流れている状態」を良いと考えます。この中の【血】に相当する【血液】の流れが悪くなると、体内に老廃物(毒素)が溜まってしまい、これを「瘀血(おけつ)」と呼びます。

瘀血は、「筋肉の凝り」「痛み」「痺れ」「倦怠感」など、様々な症状の原因として考えられています。その為【瘀血の排出】を目的とした様々な治療法があります。

日本では、「蛭に血を吸わせて」瘀血を排出させたり、【刺絡療法:シャ血】などをおこなっていましたが、現在では【吸玉療法】【かっさ療法】などが一般的です。

「蛭療法ーLeech Therapy」は、静脈瘤・関節炎・ニキビに有効!?

<2-1>瘀血チェック

「瘀血の有無を調べる」には、様々な方法があります。

1.刺激した皮膚の色の変化を観察する


2.舌を観察する(舌診)

3.血液の色をチェックする

【3】かっさ療法の歴史と普及の変遷

およそ2000年以上前古代中国で漢方医学の一部として使用されていました。最古の記録は『内経』などに見られます。

時代地域特徴
古代中国民間療法として各家庭で実践。特に農村部で風邪・発熱治療に使われた。
2000年代台湾、香港、東南アジア中国系移民を通じて家庭療法として普及。
2010年代〜欧米ウェルネスや東洋医学ブームとともに美容ツールとして注目。
2020年代現在中国・韓国・日本・欧米美容・セルフケア目的でSNSを通じて再注目。「フェイスかっさ」がトレンド化。

<3-1> 人気の地域(現代)

  • 中国本土:伝統医療の一環として病院や家庭で使用。
  • 台湾・香港:マッサージや鍼灸と並び定番の民間療法。
  • 韓国:美容目的でフェイスかっさが普及。
  • 日本:エステやリラクゼーションサロンで導入され、「美顔かっさ」として人気上昇。
  • 欧米(特にアメリカ、フランス、ドイツ):東洋美容・東洋医学ブームとともに、ナチュラルケアやウェルネス領域で注目。

<3-2> 時代による使われ方の変化

時代主な目的使用者・場所
古代〜近代病気予防・応急処置家庭内・村の治療師
現代(中華圏)医療(補助療法)中医師・伝統療法の施術者
現代(日本・欧米)美容・リラクゼーションエステティシャン、個人セルフケア

【4】各国における施術例・エビデンス

🇨🇳 中国・台湾

  • 小児の慢性咳治療:かっさ+経穴貼付で咳スコア改善(2023年 広州)
  • パーキンソン病の疼痛・睡眠障害:かっさ12回の介入で、運動・睡眠・炎症マーカーが改善(2024年 南京)

🇩🇪 欧州(ドイツ)

  • 慢性頸部痛のRCT:かっさ1回でVAS痛スコアが−29.9mm改善(ヒートパッド群より有意)
  • 高齢者の慢性腰痛:湿布よりも痛み軽減効果と炎症マーカー抑制が高かった

🌍 多地域レビュー(ブラジルなど)

  • 筋骨格系疼痛に対するかっさの抗炎症作用(HO‑1増加)に科学的根拠あり

🇺🇸 英・米・欧(美容)

  • フェイスかっさ vs フェイスローラー比較
    顔の筋緊張を低下させ輪郭引き締めに効果あり(10分×5回/週 ×8週間の使用)
  • Allure誌の体験レポート:NYの中医師による75分施術で浮腫・筋緊張が軽減された実感
  • SNS体験談(Reddit等):「顔が引き締まった」「むくみが減った」などのユーザー報告多数

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